ひやっしー3の性能再検証による、販売一時中止のお知らせ

 

2021年10月12日

 

一般社団法人炭素回収技術研究機構(CRRA)はこれまで、2021年6月よりCO2直接回収装置であるひやっしー3を一部先行販売してきましたが、2021年10月4日に新たな手法により性能検証実験を行った結果、これまでの二酸化炭素回収性能として示してきた数値と大幅に異なる結果が出ました。これらの結果を検証した結果、ひやっしー3の販売を一時中止すると共に、これまでご購入頂いた方には返金の措置を取らせて頂きたいと考えます。また、ご予約頂いた方は、ご予約のキャンセル又は後続機種の予約をお選び頂ける形にしたいと考えております。ひやっしー2までの性能表記には変更はございません。

 

関係する皆様には大変なご迷惑をおかけ致しますことをお詫び申し上げます。

 

今後はさらにバージョンアップさせたひやっしー4(仮称)の開発に注力し、2022年初頭に発売を再開したいと考えております。皆様にはご不便とご迷惑をおかけ致しますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い致します。

 

以下が、性能再検証の詳細です。



CRRAはこれまで、研究に基づいてひやっしー3を開発・販売して参りました。機構内では常にひやっしーに関する研究が行われています。その中で、2021年10月4日、CO2回収量を計測する新しい方法が開発され、それにより今までのCO2回収量データと異なる結果を示すデータが出てきました。

 

現在までCO2回収量の測定方法として用いていたのは、「中和滴定」と言う化学的に測定する方法です。この方法では、まずひやっしーのCO2回収カートリッジの中に含まれているアルカリ水溶液に対して、二酸化炭素を吸収する前のアルカリ水溶液の濃度と、二酸化炭素を吸収した後のアルカリ水溶液の濃度の差を測定します。CO2がアルカリ水溶液に溶け込むとアルカリ水溶液の性質が変化し、アルカリ水溶液の濃度が低下します。この濃度変化を元に、CO2の回収量を計算で求めることができます。この方法を様々な条件で行い、同じ条件でも最低3回以上は繰り返し実験を行い平均化した上で、ひやっしーのCO2回収量を表示していました。CRRAではこの方法が科学的により正確だと考え、採用しておりました。

 

対して、新しく開発した方法はCO2の濃度変化を物理的に観測する方法です。これは、ひやっしーに入ってくる空気の中のCO2濃度を赤外線を用いたセンサーで物理的に測定し、また、ひやっしーから出てくる空気の中のCO2濃度も同じように測定することで、両者のCO2濃度の差からCO2回収量を推定する、という方法です。



CRRAでは化学的な方法の方がきちんとアルカリ水溶液に溶け込んだ(=きちんと”回収”された)CO2を直接的に精密測定できると言う利点がある為この方法を用いて来ましたが、新たな測定方法では異なる結果を示唆するデータが出てきました。

2021年10月4日に新たな測定方法による最初の測定を行ってから1週間にわたり試験を行った結果、当初のデータが正しい可能性も考えられるものの、新しい測定方法が正しいという可能性も考えられるという結論を下しました。僕は1人の科学者として、回収量において今までと異なるデータが出てきた以上、どちらかが正しいと確証が得られるまでは販売を停止させて頂くことを決断しました。また、今までご購入・ご予約頂いた方々には次のようなご連絡を致しました。

 

 

・既にひやっしー3をお使い頂いているお客様
 お客様には原則として、今までお使い頂いた期間分の全額をご返金致します。

・既にご入金済みで、未発送・出荷準備中のお客様

 ご入金頂いた全額をご返金致します。もしご希望の場合は、既にご入金頂いている金額を次のバージョンのひやっしーのご利用料としてお振替えすることも可能です。

 

・予約を頂いたお客様で、ご入金がお済みでないお客様

 ご予約のキャンセルか、次のバージョンのひやっしーへご予約枠をお振替えするかをお選び頂けます。

 

・ひやっしーについてご関心がある、もしくは導入をご検討されていたお客様

 大変申し訳ございませんが、新たなひやっしーの発売をお待ち頂けますと幸いです。(2022年初頭に発売予定)



僕の科学者としての信念、そしてCRRAの研究機関としての理念は、科学に正面から向き合う姿勢です。今までと異なる結果を示唆するデータが出てきた以上、その可能性が定まらない段階であっても、科学に基づいた確証が得られるまでは販売を停止することと致しました。

 

自然科学の研究においては確実な時期についてお約束することは難しいのですが、CRRAはこれから2021年末までCO2回収量についての検証と、ソフトウェアの不具合の修正などを行います。また、既存のひやっしー3を販売再開するのではなく、既にお使い頂いているお客様より頂いたご提案や声をもとに次世代型のひやっしーの開発に取り組み、2022年初頭を目標に販売再開したいと考えております。

僕をはじめとしたCRRA研究員全員は、これからも常に科学と真摯に向き合い、「地球を守り、火星を拓く」べく研究活動に邁進して参ります。初号機を発明した頃のように僕たちは再びしばらくの間研究に没頭しますが、最高のひやっしーを生み出して再び戻って参ります。

 

研究へご期待くださり、ご支援頂いている皆様におかれましては、この度ご不便・ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございません。このような大変心苦しい発表となってしまいましたが、今後も引き続き何卒応援頂けますと幸いです。

 

2021年10月12日

 

化学者兼発明家

一般社団法人炭素回収技術研究機構

 

代表理事・機構長 村木 風海

 

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